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Q1 なぜ、治療が必要なの?
Q2 他の病気を持っていても治療できますか?
Q3 アイソトープ治療とはどのようなことをするのですか?
Q4 アイソトープ治療は安全でしょうか?
Q5 アイソトープ治療を受けた後に子供を産むことができますか?
Q6 長期にわたる副作用はないですか?
Q7 治療効果はどのように現れるのでしょうか?
Q8 他の人への放射線の影響はありますか?
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あなたはバセドウ病という病気です。 |
首の前にある蝶型をした甲状腺というところがはたらきすぎて、甲状腺ホルモンを過剰に作ってしまう病気です。 きちんと治療を受ければ、全く心配はありません。 バセドウ病の治療法には大きく分けて3つあります。 ① 内科的治療 - 薬を一定期間のむ(個人差があります。) ② 外科的治療 - 甲状腺の手術 ③ アイソトープ治療 - 放射性ヨウ素をのむ あなたの年齢、性別、病気の状態、薬の副作用などを考えて、あなたに合った治療法が決められます。 担当の先生より説明を受け、アイソトープ治療をお受けになる方は、次をお読みください。 |
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外来通院できる患者さんであれば… |
![]() (但し、妊娠している方、授乳中の方は受けることができません。) アイソトープ病室を備えた施設では、入院治療も可能です。 しかし、原則として排尿排便などが自分でできる患者さんに限られております。 また、重症の糖尿病、心臓病などの病気をお持ちの方は担当医とご相談ください。 |
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カプセルを内服します。 |
![]() 治療に使われる放射性ヨウ素は、食物から取るヨウ素と同じように甲状腺に取り込まれます。放射性ヨウ素は放射線(ベータ線と呼ばれます)により甲状腺の細胞を減少させ、甲状腺ホルモンの量を減らします。 実際の治療に際しては、放射性ヨウ素を含んだカプセルをのむだけです。 |
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食物から取るヨウ素を控えます。 |
![]() ヨウ素を多く含む医薬品(うがい薬、ヨード造影剤など)も控えます。詳しくは担当医にお尋ねください。 |
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安全な治療です。 |
![]() これまで治療を受けた患者さんは、注意深く経過観察がされてきました。 その結果、治療効果は確実で、安全な治療法であることが証明されています。 |
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ご心配はありません。ご注意いただくことは… 治療後6ヶ月は妊娠を避けることをお勧めします。 |
![]() 治療後妊娠しても放射線による奇形などの影響はないと考えられています。 また、不妊となることはありません。 男性についても、不妊となることはありません。 |
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癌や白血病になるという証拠はありません。また、子孫への影響もありません。甲状腺機能低下症(甲状腺のはたらきが低下すること)になることもありますが、これは治療効果と考えて良いでしょう。 |
1940年代より多くの人がアイソトープ治療を受けてきましたが、治療量のアイソトープが白血病や甲状腺癌を起こすという証拠はなく、アイソトープ治療は安全と考えられています。しかし、アイソトープ治療により甲状腺の腫れが小さくなり、治療後年数が経つにつれて甲状腺のはたらきが低下する人が増えてきます。甲状腺機能低下症になりますと、甲状腺ホルモン薬の内服が生涯必要になります。 甲状腺ホルモン薬は、バセドウ病のときにのむ抗甲状腺薬(甲状腺ホルモンができるのを抑えるクスリ)のような副作用はなく、適正な量をのんでおけば長期に服用しても安全です。 ![]() たとえ、甲状腺機能低下症になった場合でも、1日1回甲状腺ホルモン薬をのむことで血中甲状腺ホルモンは正常に保たれ、快適に過ごすことができます。 アイソトープ治療後に生じる甲状腺機能低下症は副作用というより、治療効果と考えて頂きたいと思います。 |
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人により個人差がありますが、比較的ゆっくりと効果が現れます。 |
早い人では2週間位で高い甲状腺ホルモン値が正常化し始め、3ヵ月~1年位で、ゆっくりと甲状腺ホルモン値が低下してきます。 アイソトープ治療後に甲状腺の機能の抑制が不充分で抗甲状腺薬をのむ必要がある場合でも、甲状腺ホルモン値さえ正常にしておけば、バセドウ病のコントロールはうまくいきます。また前問の答えのように甲状腺機能低下症になっても、甲状腺ホルモン薬をのめば、甲状腺ホルモンは正常に保たれ、正常の人と全く同様な生活ができます。 |
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ていねいに経過を観察します。 |
![]() そのような場合は、治療効果が出てくるまで心臓のドキドキを抑える薬や抗甲状腺薬をのみます。 また1回のアイソトープ治療で効果が十分でない場合は、再度治療を行います。 |
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放射線の影響はほんのちょっとですが、必要以上の接触は控えめにした方が良いでしょう。 |
![]() 周囲の方が放射線を受ける量は、あなたの近くにいる時間と、あなたからの距離により大きく変化します。 時間が長ければ長いほど、距離が近ければ近いほど、放射線を受ける量は増えます。 他の人へ放射線の影響を少なくするためには、あなたに必要以上に近づかせないこと、必要以上に長時間あなたの近くで過ごさせないことが基本となります。 特に放射線の影響を受けやすい妊婦、子供については、注意してください。 具体的には、放射性ヨウ素内服後7日間は、子供や妊婦との親密な接触、長時間の接触(添い寝など)を避けましょう。また、乳幼児を15分以上抱くことは控えてください。 小児や妊婦と接する機会のある職業の方は、少なくとも1週間は休職し、休職期間については担当の先生の指示に従ってください。 本資料は、日本核医学会が作成した「バセドウ病の放射性ヨウ素内用療法に関するガイドライン」改訂第6版(2018年)に基づいています。 |