食品照射実践マニュアル
  〜食品衛生や植物検疫などへの適正な利用のために〜

公開日:2025年9月9日

原文(英文) Manual of Good Practice in Food Irradiation Sanitary Phytosanitary and Other Applications(IAEA) 発行年 2015年
翻訳 食品照射実践マニュアル 〜食品衛生や植物検疫などへの適正な利用のために〜(日本アイソトープ協会 発行年 2025年

本翻訳作成のねらい

 本書は、2015年に発行された「IAEAテクニカルレポートシリーズNo. 481, Manual of Good Practice in Food Irradiation Sanitary Phytosanitary and Other Applications」を、出版元の正式な許可を得て翻訳したものである。この技術的な文書は、IAEAのアジア・太平洋地域の技術協力協定であるRCA傘下の食品照射プロジェクトにおいて、食品照射の導入によって植物検疫処理手段の拡充や食品衛生の向上を期待する加盟国からの要望を受けて作成された。原文の前書きにあるように、発刊の目的は、食品照射を実施する照射施設の運営者がその実務を理解し改善することを支援するとともに、「食品照射のグッドプラクティス(規範的な優良実施手順や実践例) 」を理解する必要のある食品規制当局や製造業者、流通業者などの利害関係者にも詳細かつ分かりやすい技術情報を提供することである。食品照射という技術の有用性や処理された食品の安全性について、放射線生物学や放射線化学の基礎に立って科学的な解説を行った著作は、多数出版されている。しかし、一般の人々にとっては、食品照射の具体的な方法や手順について想像が及ばず、照射の目的を適正に達成するためにどのように管理されているのかについてもイメージしにくいことが、その実用化に関する議論の妨げになっている。食品照射がいかなる場合にも望ましい結果をもたらすように、その工程を適切に管理する方法を知ることは、この技術を正しく利用するために不可欠であり、先にのべた事業者や規制当局の関係者にとどまらず、一般の消費者の照射食品に対する信頼を高めることにもつながると考え、本書の邦訳を公開する。

*原子力科学技術に関する研究、開発及び訓練のための地域協力協定(RCA:Regional Cooperative Agreement for Research, Development and Training Related to Nuclear Science and Technology)

訳者による解説

 本書では、専門用語や照射施設の運用に関する記述の正確性に配慮しつつ、分かりやすい表現を心掛けている。一方、分野外の読者に向けた用語の補足説明や、規格・基準などの最新情報については、以下の解説において補足する。その際、原文文献の一部については、2015年の発行以降の改訂を踏まえ、訳者の判断により、2025年8月の情報を追記した。

訳者解説(PDF)

第2期及び第3期 理工・ライフサイエンス部会
食品照射専門委員会 委員長 等々力 節子