研究者紹介 No.39

研究者紹介
更新日:2023年11月6日(所属・役職等は更新時)
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アイソトープとの出会い~学生時代について

アイソトープ・放射線の研究を始めたきっかけを教えてください

私は学生時代、教育大学で理科教育を専攻、専門として有機化学を選択しており、放射線研究とは全く縁のない生活をしていました。自身が合成したラジカル化合物を電子スピン共鳴分光(ESR)で測定していたところ、家庭科の先生に「ついでに"これ"も測定して」と頼まれたのです。"これ"は、放射線照射した朝鮮人参でした。その後、次々に測定を頼まれ、データ解析を、論文を、という流れとなり気がづくと照射食品の研究に関わっていました。

研究職に進むことを決めた当時の心境を教えてください

私は小・中・高の教員免許を持っており、当時は非常勤講師として働きながら研究をしていました。そんななかで、研究職と私立高校教員のお誘いが同時に届き、どちらに就職すべきか本当に悩みました。結果、研究職を選択しましたが、当時の正直な気持ちとしては、「やってみて無理だったら、"研究職経験がある"を武器に私立高校の教員になろう!」でした。上手くいかなくとも他の職はある、後悔はしないよう一度はチャレンジしよう、という心境でした。

現在の研究について

現在の研究内容、おすすめポイントを教えてください

2年前より、研究支援(国際標準化、特許、共同研究、広報など)を担当しており、現在は食品照射を課題とした研究は行っていません。ただし、アイソトープ・放射線の国内、国際会議には出席しています。これまでとは異なる役職や仕事をしたことで、研究とは違った視点、知識を得られ、研究に戻った時に、「何をしたいのか」「何が求められているのか」などの考える力になっていると感じています。

今までで研究をしていて苦しかったこと、辛かったことを教えてください

研究職に就いた年から2年続けて家族を喪い、全てにやる気が起きず、ただ生活している状態になりました。新しい実験も上手くいかず、行き詰まり辞めようと思っていました。しかし、ふとこれまでの経験で得た2つの技術を組み合わせて実験してみたところ、行き詰っていた実験が成功し、科研費の獲得など、次につながる研究になりました。色々な経験をしてきたことで、従来の手法と異なる方法で壁を突破できることがあるのだと実感でき、精神的にも楽になったことを覚えています。

あなたの研究人生において、影響を与えた方を教えてください

北海道教育大学の際にご指導いただいた有機合成の研究室の中村秀夫先生、アイソトープ・放射線と関わるきっかけとなった家庭科教育の鵜飼光子先生です。お二人とも研究者として、人として育てていただいた恩師です。特に女性の鵜飼先生には、研究者としての仕事はもちろんですが、それ以上に女性研究者の人生としての結婚、出産など、経験や知識を教えていただき、人生の恩師とも言えます。

学生へメッセージ

私自身は理科教育、有機合成を専門とし、アイソトープ・放射線とは接点のない学生時代を過ごしていました。それが、次第にアイソトープ・放射線を使った研究者となりました。一つの道を専門的に極めるのも素晴らしいですが、寄り道をすることで新たな知識、思考を身に着けることもできるのではないでしょうか。
逆に、今はアイソトープ・放射線に興味がなくても、将来思わず接する機会があるかもしれません。ぜひ壁を意識せず、"とりあえず"で接してみてはいかがでしょうか。


亀谷 宏美(かめや ひろみ)
専門
食品科学、照射食品
略歴
2008年3月 室蘭工業大学大学院工学研究科博士後期課程創成機能科学専攻 修了 博士(工学)、2008年4月~2010年3月 函館白百合学園中学高等学校と北海道教育大学にて非常勤講師、2010年 農研機構食品総合研究所に入所し、現職に至る