研究者紹介 No.27

研究者紹介
更新日:2022年8月24日(所属・役職は更新時)
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アイソトープとの出会い~学生時代について

アイソトープ・放射線の研究を始めたきっかけを教えてください

大学時代は化学科でしたが、研究室配属の際に分析関係の道に進みたいと思い、当時、放射線・放射能分析を行っていた"今泉 洋"先生のトリチウムの分析に携わりました。なぜ、この分野に進んだのかは、はっきりと覚えてはいませんが、新潟という原子力発電が立地されている地域ということもあり、小学生の時には町に原子力発電所を作るか・作らないかで話題になったことから放射能について多少、興味があったのだと思います。

研究職に進むことを決めた当時の心境を教えてください

修士課程卒業後、民間へ就職したいと思っていましたが、私の就職活動期は3.11の地震で原発事故があり原子力・放射線分野の募集が少なかったため叶いませんでした。その後、博士課程に進学し、母親が脳出血で倒れたという経緯もあり、実家近くの分析センターへ就職。当時、今泉先生の計らいで社会人博士とさせていただき、研究も続けました。博士卒業間近で研究職へ就きたいという思いから現在の職場で働いています。

現在の研究について

現在の研究内容、おすすめポイントを教えてください

従来、放射線は医療で使用されてきましたが工業利用としての非破壊検査も可能です。日本刀の鑑定で偽装(継ぎ茎)の判別をするため、X線検査で継ぎ茎または溶接の有無を判定しています(詳細はこちら)。また、X線撮影で得られた写真自体(花)をデザインとして商品化した企業もあります(memorif.)。農業利用では食品の殺菌や文化財保護としても有効であり、私は低エネルギー電子線・X線で食品の表面殺菌(鶏卵の卵殻殺菌)の研究をしています。

今までで研究をしていて苦しかったこと、辛かったことを教えてください

食品照射の研究を進めるにあたって、どういう建前で研究立案するか、迷いました。日本では食品照射は"じゃがいもの芽止め"しか認められておらず、低エネルギー電子線による食品の表面殺菌も実現されていません。先輩とディスカッションし、暗中模索の中、研究をスタートさせました。学会・論文発表するうちに企業や海外の研究機関が興味を持ち共同研究まで至ったのはよかったと思います。とりあえず、やってみる。発表してみるのも1つです。

あなたの研究人生において、影響を与えた方を教えてください

学生のころから保健物理学会の学友会・若手に所属しているのでセミナーや講演会など会員同士で相互研鑽しています。大学では今泉洋先生から研究内容も含めて学会発表や論文指導でお世話になり、現在の研究では関口正之先生にお世話になっています。海外ではiia(国際照射協会)所属で食品照射の専門家であるYves Henon(イヴ. エノン)氏から国際発表の機会を与えてもらえたのが大きいです。どの方も、チャレンジすることに前向きであり、活躍する場を与えてくれるため自身が成長しているのだと実感できます。

研究の息抜きにしていることを教えてください

子供が小さく保育園のお迎えがあるので、仕事の時間がはっきりしています。帰りの電車の中では、音楽を聴きながらリフレッシュし、お迎えの瞬間から家事・育児モードに突入です。原稿や申請書で頭がいっぱいの時に、育児をしてから見直すと頭が冷めたのか、スムーズに進むことが多いです。子供の世話をするのは正直、大変なことも多いですが、良い息抜きになっていると思います。

学生へメッセージ

アイソトープや放射線を使った研究をしている(したいと考えている)学生へ一言お願いします

放射線は身近な存在です。私も、仕事をしていて、こういう使い方があったかと思うことばかりです。敷居が高いかもしれませんが、研究室の先生方から学会を聴講させてもらい、いろんな分野の話を聞いてみるのも手だと思います。特にアイソトープ協会の放射線研究発表会は、2022年度時点で学生は無料なので。他の学会の聴講も無料なところが多いと思います。


片岡 憲昭(かたおか のりあき)
専門
放射線計測、食品照射、環境放射能、非破壊検査
略歴
2012年4月 新潟大学博士課程に進学、2012年7月~2015年 新潟県環境分析センターの技術員(この間は社会人博士に切り替え)、2015年 新潟大学で博士(工)を取得、2015年4月より現職。