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本賞は、若手の研究活動の奨励を目的とし、アイソトープ・放射線研究発表会において優秀な口頭発表を行った学生および若手研究者を表彰するもので、第49回(2012年)から実施しています。
受賞者の皆様の今後ますますのご活躍を期待いたします。
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| 受賞者(発表時の所属) | 演題(講演番号) |
|---|---|
| 授賞理由 | |
| 朝香 千咲稀 氏 (都立大・院・人間健康科学/QST・放医研) |
Brca1変異雌ラットを用いた放射線による生殖影響の感受性評価(1C04) |
| DNA 二本鎖切断の修復遺伝子であるBrca1 変異雌ラットおよび野生型雌ラットの放射線照射群(高線量率、低線量率)および非照射群(6群各4匹)から卵巣を採取し、卵胞の発育段階ごとの定量を行った。原始卵胞では高線量率群で有意な減少が認められたが両遺伝子型で傾向は同じであり,排卵前卵胞時の閉鎖卵胞は野生型ラットのみ高線量率群で有意な減少が認められたことから,放射線の雌ラットの生殖影響に対してBrca1 遺伝子型による相違は小さいことが明らかになった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 岡部 凜 氏 (東邦大/量研) |
低酸素下培養における重粒子線特異的な細胞内ATP量の変化(1C13) |
| チャイニーズハムスター由来CHO 細胞を使用し、照射1 時間前より無酸素状態へ置換した後、X 線または低LET 炭素線、高LET炭素線、アルゴン線、鉄線を照射した。その後、大気下または無酸素下で40 時間培養した後の細胞内ATP量をCell Titer-Glo 2.0 assay を用いて測定した。X 線および低LET 炭素線では照射後の酸素環境による細胞内ATP 量への影響は認められなかったが,高LET 重粒子線では影響が観察され、LET が高くなるほど顕著であった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 神谷 直紀 氏 (東北大・院理) |
三体模型による陽電子原子の光脱離断面積の計算(1B09) |
| 陽電子と中性原子は束縛状態を持つ場合があり,その特異な構造は化学反応の基礎的なモデルケースとして興味深い。本研究では中性原子を閉殻イオンと価電子として扱い,陽電子を加えた三体模型により陽電子原子の光脱離反応の断面積を計算した。陽電子リチウム原子の光脱離では、陽電子が脱離するチャネルの断面積はポジトロニウム(Ps) が脱離するチャネルに比べて大きな値を示した。 Li+ がPs を緩く束縛したような構造をとっており,陽電子が脱離する際には価電子の分布に収縮が生じることが明らかになった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| Jiaxin Li 氏 (東北大学) |
Application of airborne monitoring data toward external radiation dose assessment for wild Japanese Macaques affected by the Fukushima daiichi nuclear power plant accident(1B09) |
| 原子力災害による野生生物の外部被ばく線量を評価することは困難である。本研究では、福島第一原子力発電所から半径20km以内に生息し被害軽減のために駆除されたニホンザルから採取した歯のエナメル質の電子スピン共鳴分析(ESR法)から求めた線量と,ニホンザルが捕獲された地点の航空機モニタリングデータを用いた積分値(AMD法)の2つの方法による線量を比較した。分析した8個体では線量の相対的な順位は両手法で一致したが、AMD法は線量を過大評価することがわかった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 須田 裕夢 氏 (群馬大・重粒子) |
炭素線超高線量率照射による腫瘍細胞と腫瘍組織における生物学的効果の解析(1C14) |
| 炭素線による超高線量率(C-uHDR)と通常線量率(C-Conv)による照射効果をマウス骨肉腫細胞株LM8を用いてin vivo,in vitro両系において調べた。in vitro では細胞生存率はC-Convに対してC-uHDRの方が有意に高値を示した一方,in vivoでは腫瘍体積の低下に有意差は認められなかった。またin vivo腫瘍内のCD3, CD8抗体への陽性細胞数は,C-uHDRはC-Convに比べ有意に高値を示し,腫瘍内への免疫細胞浸潤がより強く誘導されている可能性が示唆された。報告発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 津金 聖和 氏 (KEK) |
高エネルギー電子加速器室内中性子・光子放射線場の大規模高分解能空間分布測定(2B10) |
| 高エネルギー加速器研究機構(KEK)の加速器施設では照明のLED 化が検討されているが,半導体素子は放射線に脆弱である。γ線照射試験では電源ON で約100 Gy,OFFで約600~2000 Gy の範囲で故障が確認された。また加速器トンネル内にガフクロミックフィルム,金箔および固体飛跡検出器を計1000 点以上設置して光子と中性子の放射線場を測定した。これにより運転中は照明を切って運用する基本方針が示され,高線量域では電源退避型を用いる等の対策が必要であることが分かった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 寺坂 有生 氏 (千葉大・院薬) |
ネオペンチル構造を基盤とした新規211At標識多価PSMA薬剤の開発(1A01) |
| これまでにネオペンチル標識技術を利用して前立腺がんに高発現する前立腺特異的膜抗原(PSMA)を標的とした1価の標識薬剤[211At]At-NpG-D-PSMA を開発した。今回PSMA 標的部位を3 分子導入する新規多価211At 標識薬剤を合成して正常マウス体内放射能分布試験を行った。3 価PSMA は生体内における211At の安定な保持と標的への親和性向上を両立することが示されたことから、1 価薬剤と比べて腫瘍集積のさらなる向上が期待できることが分かった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 南部 明弘 氏 (北大・院医理工/理研・仁科セ) |
natSr+d反応によるイットリウム同位体の生成断面積測定(1A04) |
| 加速器で製造可能な核種である86,87,88Y はSr の薄膜標的を製造することが難しいため核反応断面積の実験データが不足している。本研究ではインクジェットプリンタを用いてnatSr の硝酸塩標的を作製し、エネルギー測定用のnatCu標的と複数組重ねて24 MeV重陽子を照射した。生成核種をGe検出器を用いて定量し断面積を得た。86mY の生成断面積は今回初めて得られた。本手法は少量の物質からでも効率よく標的を製造できるため、今後の応用が期待される。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 野原 葵 氏 (名古屋大・院生命農学) |
ダイズ根における異なる根圏ストレス条件下での新規固定炭素分配パターンの解析(1C07) |
| 播種3 日後のダイズをストレス条件として低酸素,浸透圧,塩処理で0,1,3,9,24 時間生育させた。その後14CO2にて標識し,イメージングプレートを用いて根に固定された14C を可視化した。また,24 時間処理後の植物体を溶解させ液体シンチレーションカウンターで定量した。いずれのストレスにおいても,処理開始後24 時間以内に根への新規固定炭素蓄積量が低下した。ただし要因はストレス条件により異なり,低酸素区では地上部から根への炭素輸送抑制,浸透圧・塩ストレスでは炭素固定量の低下が主要因であることが示唆された.発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 | |
| 渡邊 晶斗 氏 (東大・院工) |
ZrO2ナノ粒子の急速水熱合成および液体シンチレータへの応用(2B04) |
| 二重β 崩壊の候補同位体として96Zrを添加した有機液体シンチレータが検出器の候補として有望である。通常の手法である有機金属錯体による添加ではシンチレータの発光を吸収することから消光が問題となる。本研究では急速昇温型超臨界水熱プロセスによってZrO2 ナノ粒子分散液を開発し,20 wt%までの濃度で添加した。10 wt%においても優れた発光量とエネルギー分解能を両立し,開発した手法はナノ粒子分散シンチレータの実用化を大きく加速しうることが分かった。発表内容の構成や質疑応答も高く評価できることから、本講演賞に値すると判断した。 |
過去の受賞者一覧
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