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保健学科放射線技術科学専攻で学ぶ中で、放射線治療とその基礎となる放射線生物学に興味を持ちました。外科手術や化学療法とは異なり、放射線治療は照射されても体感的な変化がほとんどないにもかかわらず、腫瘍に効果を発揮します。その不思議さと魅力に惹かれ、効果が生じるメカニズムを解明し、がん治療により効果的に活用する方法を学びたいと思ったことが、研究を始めたきっかけです。
大学の同級生の多くが病院に就職する中、助教の先生(笈田将皇先生:現岡山大学准教授)から大学院への進学を勧めていただき、進学を決めました。研究職の雇用の不安定さや経済面、人間関係などの厳しさは知っていたため、不安がなかったわけではありません。それでも、一度しかない人生だからこそ、悔いのないように自分のやりたいことに挑戦したいと考えました。もともと楽天的な性格だったことも、進学を決断できた理由の一つだと思います。
私の研究では、放射線ががん細胞やその周囲の環境(腫瘍微小環境)にどのような影響を与えるのかを調べ、治療が効きにくいがんを克服する方法を探っています。特に、炭素イオン放射線治療と分子標的薬との併用に注目しています。また、がん組織内の酸素不足(腫瘍低酸素)や免疫細胞の働き、細胞同士が情報を伝える仕組みも研究対象です。放射線によってがん組織全体がどう変化するのかを明らかにし、より効果的ながん治療につなげることを目指しています。
研究を行う上で大切にしているモットーは、研究を楽しむこと、研究ができる環境に感謝すること、そして成果を必ず論文として発表することです。研究は長く続けていくものだからこそ、楽しむ気持ちを忘れないようにしています。また、優れた才能を持ちながら研究の世界を去る人もいる中で、自分が研究を続けられることをありがたく思っています。そして、たとえ小さな成果であっても、誰かの役に立つ可能性があります。費やした時間や労力を大切にし、成果をきちんと論文として残すことを心がけています。
研究の息抜きは、やはり旅行です。学生時代は登山用のバックパックを背負って、よくアジアを旅していました。スマートフォンが普及する前に、出発前に初日の宿だけを予約し、自由気ままに1か月弱かけて台湾を一周したことは、今でも良い思い出です。現在は家庭を持ち、小さな子どももいるため、以前のような旅は難しくなりましたが、学会などで出張した際に時間を見つけて街を散策するのが、ささやかな楽しみになっています。
研究に一生懸命取り組んでいれば、周囲の理解や助けに支えられることがあると思います。将来への不安は誰にでもあると思いますが、それだけで自分の可能性を狭めず、興味を持ったことに挑戦してほしいです。また、何事も完璧を目指す必要はありません。自分なりに努力を続けながら、心身の健康を大切にし、周囲の人とのつながりも大事にしてください。アイソトープや放射線には、医療をはじめ、さまざまな分野で活躍できる可能性があります。