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修士までは応用物理学を専攻し、半導体材料など固体物理の研究を行っていました。ミクロな現象を扱う研究に取り組む中で、「もっとスケールの大きなものに関わりたい」と考えるようになりました。指導教員と相談する中で、対象はミクロでも巨大な実験装置を必要とする「核融合」や「加速器」の分野に魅力を感じ、2011年当時、核融合研究の最前線であった京都大学大学院エネルギー科学研究科へ進学したことが、現在の研究の原点となりました。
京大で核融合炉設計に向けた核解析を始め、学生生活が長くなることに不安はありました。在学中にJAEAの夏期実習生・特別研究生となり、研究職と技術職が協力して一つの実験を作り上げる姿に触れ、自分もその一員になってみたいと思ったこと、解析と実験の両方を経験できれば研究者として成長できるという期待の方が勝っていました。また、人に説明できてこそ本当に理解したと言えると思っていたため、むしろ中途半端な知識のままでいることの方が不安でした。学位取得後はJAEAの博士研究員となり、毎日新しい学びがある上に、給料日まであることが嬉しかった記憶があります。
核融合炉材料の照射試験を行う中性子源施設の設計や、そのために必要な遮蔽解析・核設計を行っています。また、この施設を医療・産業用アイソトープ製造にも活用するための設計検討や、核解析に用いる核データの精度検証にも取り組んでいます。以前は施設や核データを利用する立場でしたが、現在はそれらを支える側として研究できることに大きなやりがいを感じています。
モットーは「主張を強めるより、根拠を積み上げる。」です。また、昔から「人に説明できてこそ、本当に理解したと言える」と考えています。研究を続ける中で、専門家同士では伝わる内容でも、専門外の方には十分に伝わらない場面を何度も経験してきました。そのたびに、自分が理解したつもりでも、相手に分かる形で説明できなければ本当に理解したとは言えないと実感しました。そのため、十分な根拠を持ち、それを誰にでも説明できる形で伝えることを大切にしています。
銅です。JAEAで博士研究員として最初に担当したのが、銅の核データに関する積分実験でした。それまでは銅といえば冷却配管の材料という程度の認識でしたが、実験体系の設計から解析、5×5×20 cm³の銅ブロックを積み上げ、直径63 cm、長さ61 cmの模擬円筒を作る実験、核データ評価、学会・論文・IAEAでの発表まで、一つのテーマと長く向き合いました。密度は知っていたつもりでしたが、その重さは体で実感しました。面白いことに、その次に担当したのは、さらに重い鉛とタングステンでした。それでも、研究者として最初に深く向き合った元素である銅は、今でも特別な存在です。
研究所の仲間や、周辺企業、欧州から来ている共同研究者と一緒にテニスをすることです。学生時代は親の勧めで半ば嫌々レッスンに通い、「どうすれば休めるか」ばかり考えていましたが、今では一番のリフレッシュ方法になりました。テニスの日は残業をしないと決めています。今では私が声をかける立場になり、なかなか休めなくなりました。現在は欧州との共同プロジェクトで加速器のビーム計測チームも担当しており、コートでは仕事の話になることもあれば、翌日の作業を相談することもあります。膝を痛めても、なかなかやめられないくらい大切なリフレッシュになっています。
最初からアイソトープや放射線に興味があったわけではありません。私も「スケールの大きなものに関わりたい」という思いからこの分野に入りました。実際に研究を始めると、放射線やアイソトープは核融合、医療、産業など幅広い分野を支える共通の「道具」であることが分かりました。興味の入口は何でも構いません。もしこの分野に面白さを感じたら、ぜひ飛び込んでみてください。いつかこの分野を支える仲間としてお会いできることを楽しみにしています。