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幼い頃から、がんに苦しむ人々の力になりたいという思いを抱いてきました。長崎大学在学中に恩師の渡邉正己先生による「放射線は生命と深く関わっている」という講義に感銘を受け、放射線を通して生命現象の本質に迫ることができるのではないかと感じました。放射線生物学の視点から生命の仕組みを深く理解することが、発がんや老化のメカニズムの解明、さらには新たな発見につながると考え、研究の道に進みました。
大学院生時代、研究室の先輩や同期が楽しそうに研究に取り組む姿に刺激を受け、自然と研究者を志すようになりました。また、若いうちに海外で世界の広さを知りたいという思いも、研究の道を選ぶ大きなきっかけとなりました。実際の留学では、多様な文化や価値観に触れることで、日本を客観的に見つめ直すとともに、自分の考えを持ち、論理的に議論することの大切さを学びました。研究を志す学生の皆さんには、不安があっても好奇心と「やってみたい」という気持ちを大切にしてほしいと思います。研究を通じた経験や出会いは、自分の世界を大きく広げてくれるはずです。
DNA複製ストレスとDNA損傷応答の研究を通じて、発がんや放射線感受性の個人差の理解を目指しています。特に、ロスムンド・トムソン症候群の原因遺伝子RECQL4に着目し、エラーが起こりやすいDNA修復因子RAD52を介した放射線・薬剤耐性獲得機構の解明と、新しい抗がん剤の開発に取り組んでいます。また、放射線による発がんを抑制する生体のレジリエンス機構の解明を通じて、健康寿命の維持につながる仕組みの理解を目指しています。放射線やアイソトープを用いて目に見えない生命現象を可視化し、その知見を放射線治療や創薬へ応用できることが、この研究分野の魅力です。
大学院時代の恩師の「研究者には、飛び抜けた才能以上に、素直さと粘り強さが大切だ」という言葉が今でも印象に残っています。自分の視点は数ある見方の一つに過ぎないことを意識し、分野を超えた研究者との議論を通じて新しい考え方を積極的に吸収するよう心掛けています。そして、「運・鈍・根」を大切にし、日々少しずつ前進することをモットーに研究に取り組んでいます。
長い歴史を刻んできた渋い温泉や旅館を巡ることと、そこで出会う人生の大先輩の方々との語らいが、研究の息抜きになっています。
放射線生物学は130年以上の歴史を持ちながら、いまだ多くの謎が残された学問です。生成AIで簡単に答えが得られそうな時代だからこそ、新しい発見の原動力となるのは、人間の好奇心と「なぜだろう?」と問い続ける力だと思います。予想外の結果を面白がり、失敗を恐れずに粘り強く挑戦し続けることが、まだ誰も知らない生命現象の解明や、未来の医療を支える新しい知識の創出につながると信じています。ぜひ自由な発想と好奇心を大切にしながら、未知の世界に挑戦してください。