| 文字サイズ: |

私が研究として最初にアイソトープ・放射線に触れたのは学部生の頃です。授業で超新星残骸について学んだのをきっかけに、X線観測データから高エネルギー天体の描像を得る宇宙X線観測の道に進みました。その後、観測のために自分たちで最先端の検出器を開発することにも魅力を感じ、検出器開発に主軸をおくようになると、検出器の性能評価試験でアイソトープを用いるようになりました。現在では、検出器開発を基盤とした異分野応用研究としてアイソトープを使った医学実験にも携わっています。
大学入学前から研究者になりたいと思っていたので、迷いは少なかったです。もちろん修士・博士課程で研究の辛さや大変さも知り多少の不安はありましたが、当時の心境としては、就活はいつでもできるから(もちろん一概には言えない)、まずはできるとこまで自分の"楽しい・面白い"に従ってみよう、という思いでした。迷っているならまずは飛び込んでみるのもありだと思います。
私の研究の主軸は、宇宙観測から加速器、核医学まで様々な分野に登場するX線・ガンマ線を高精度に捉える放射線検出器の開発です。様々な制約の中で最先端の成果を目指して開発されてきた宇宙観測用硬X線検出器や解析技術を基盤として、物質内の元素組成や生体内の薬剤分布を外から検出する技術の開発を進めています。このような分野の垣根を超えた技術循環の促進は、それぞれの分野における課題解決や新たな研究課題の創出を促す重要な役割を担っていると思います。
縁のある核種は241Amです。60keVの輝線がX線検出器の性能評価やエネルギーキャリブレーションにちょうど良いため頻繁に利用する核種のひとつです。最近ではアルファ線の検出にも取り組んでいるので、アルファ線源でもあるAmはますます利用頻度が増え、最もお世話になっている核種と言えます。
緻密なことを黙々とやるのが好きなので、時間がある時は彫刻をしています。木を彫っている時間は無心になれます。息抜きで研究以外のことに没頭すると、いつの間にか気持ちがリフレッシュされてまた頑張ろうという気になります。
アイソトープや放射線は、治療から宇宙観測装置の評価まで、様々な分野で研究対象や道具となっています。一般的には危険なものとして認識されがちですが、正しい知識を身につけ適切に扱えば非常に有益な情報や成果をもたらしてくれます。ぜひアイソトープや放射線に関してしっかり学び、利点に目を向けてみてください。アイソトープや放射線を使うことで皆さんの研究がより充実したものとなることを願っています。