細胞実験に用いられる核種と利点・注意点

  • 遺伝子関連

  • 遺伝子関連実験でよく用いられる核種は32Pで,DNAやRNAを構成している塩基リン酸が標識されています。利点としては塩基の構造を変えることなく標識が可能であり,β線のみの放出であることから測定も簡便です。ただし強β線ですので制動エックス線に注意して,実験中は1cm程度厚のアクリル板遮へいを施す必要があります。

     

  • 細胞周期

  • 細胞周期実験でよく用いられる核種は3Hで,3Hで標識されたThymidineを用いることが多く見受けられます。ThymidineはDNA合成に必要であり,取り込みが細胞分裂に関わっています。3Hもβ線のみを放出することから測定も簡便です。ただし非常に弱いβ線ですので,汚染検査はスミア法によるLSC測定またはトリチウムサーベイメータ等の専用機器を用いる必要があります。