1.臓器・組織 |
☆溶解法
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摘出した組織の一部分(小さな組織であれば全量)をガラスバイアルに採取し,溶解剤(ソルエン-350,ソルバブルなど)を添加する。
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最大0.2gの組織に対して,溶解剤を1〜2mL程度(脂肪など溶けにくい組織は小さめに)。10%ホモジネートの場合は1mLまで添加可能(ホモジネートの方が溶けやすい)。脳,腎臓,胃等の不均一な組織中濃度を平均して測定する場合や溶けにくい組織は,ホモジネートを調製してから処理を行うと良い。骨,歯のような硬組織はアルカリ性の溶解剤では溶けません(ギ酸で脱灰する等の処理が必要)。 |
50℃でときおりかき混ぜながら,数時間加温して溶解する(大きさ,種類によっては加温しなくても溶解する)。 |
30%の過酸化水素水を少しずつ添加し,カラークエンチングが起こらないように脱色する。少しずつ添加しないと泡を吹き上げてバイアルからこぼれ,大事なサンプルを失う上に周囲を汚染させるので注意すること。 |
添加する過酸化水素水は0.5mLまで。サンプル量が多い場合は完全な無色にはなりません。あとはLSC側の補正を行いましょう。 |
シンチレータを添加する。溶解剤が通常のアルカリなのでケミルミネッセンスが発生しやすく,組織の影響でイオン濃度が高くなるので,適切なシンチレータ(ハイオニックフローなど)を選択する。 |
使用シンチレータによるが,ケミルミネッセンスをなるべく抑えるために,しばらく放置してから測定する。できれば,15℃程度の低温で一晩放置すると良い。 |
☆燃焼法(燃焼装置が必要,3Hと14Cのみに適用可能)
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摘出した組織の一部分(小さな組織であれば全量)を燃焼用のサンプル容器に入れる。サンプルの上限は,3Hで2g,14Cで1.5gされているが,きれいに燃焼させるためには,0.5g程度に抑える方が無難。脂肪は不完全燃焼しやすいので小さめに。下垂体,副腎などの小さな組織は早く燃えすぎてしまうので,セルロース粉末や紙などを担体として添加する。 |
一晩程度放置して乾燥させると燃えやすい。燃焼補助剤(コンバストエイドなど)を1mL程度添加しても良い。 |
燃焼装置を使用して測定サンプルを調製する。3Hは3H2Oとして,14Cは14CO2として回収され,自動的にシンチレータまで入れられるが,使用前あるいは使用後には,必ず既知放射能量の標準物質を用いて,回収率を確認しておくこと。 |